ワンちゃん、ネコちゃんにも、人でいう「成人病」はあります。「成人病」とは、加齢に伴って病気にかかる確率が高くなる疾患群(肥満、心臓病、糖尿病など)のことです。
動物も、人と同様に「加齢に伴う病気」に罹りやすくなります。
“元気だから大丈夫”と思っていませんか?…「犬・猫の7歳は、人の40代〜」です
ワンちゃん、ネコちゃんは「人の6~7倍の速さで、年をとる」生き物です。
小型のワンちゃんやネコちゃんの7歳は、人間換算で40~50代。大型のワンちゃんなら50代半ばに相当します。
一緒に暮らしていると、ついつい自分と同じペースで年を取るような気になります。
そのため、7歳を過ぎても「まだまだ若い」「元気だから大丈夫」と感じてしまう飼い主さんは多いかもしれません。
あなたが3つ年をとれば、0歳で飼い始めたワンちゃん・ネコちゃんは「20歳」をこえて、さらにあなたが、3つ年をとった時、ワンちゃん・ネコちゃんは「40歳をこえて、中年期」にはいるのです。
犬・猫に「(若い時と)見た目は変わらない」と思っても「目に見えない所で、成人病の可能性」も
「中年〜シニア期」ということは、見た目は元気でも、目に見えないところで、成人病(腎臓や肝臓、心臓の機能低下、悪性腫瘍→がん、糖尿病やホルモン異常など)が、進行している可能性があります。
動物(犬・猫)の成人病での注意点…「見落としがち」になること
動物(犬・猫)の成人病の注意点は「明らかな症状が出た時には末期」だったり「”年だからだろう”と、見過ごすような症状」が、実は初期症状だったりすることです。
たとえば、猫の慢性腎臓病(CKD)。これは、特に7歳以上の猫に多く見られる深刻な病気ですが、進行は静かで、明確な症状が現れた時には、すでに手遅れになっていることも少なくありません。
「どんな病気も、先手必勝」。早めに対処することで、病気を早く治すことができますし、進行性の病気だとしても、進行を遅らせることができるのです。
そして、早めの対処・早めの治療なら、その病気が「他の臓器にも影響して、色んな臓器が悪くなる悪循環も、防ぐことができる」のです。
「どんな検査で、どこをチェックできるの?」…犬・猫の健康診断の項目
健康診断の検査項目としては、一般検査、血液検査、レントゲン検査、尿検査、エコー検査などがあります。
また、これらの検査は、動物にあまり負担をかけずにおこなえる検査です。
一般検査:獣医師による視診、触診、聴診などの診察。体重、体温などのチェック。
血液検査:肝臓・腎臓・膵臓の機能、血糖、脂質、栄養状態、貧血や脱水状態
尿検査:尿PH、尿比重、腎臓機能、膀胱結石(出来やすい体質があります)
レントゲン検査:胸部レントゲン(心臓・肺の状態)、腹部レントゲン(胃・腸・肝臓・腎臓・膀胱の状態)
エコー検査:心臓・肺の状態、各臓器の状態、腫瘍、腹水や胸水など
予兆がない大病の早期発見に「元気な時の健康診断」は、高齢検査時の基準になる
「そんな若いときから、病気になったりするの?」と思う飼い主さんもいることでしょう。
動物によっては「若いときから病気を持っている」こともありますし、なによりこの機会に「病気がないことをチェック」してはいかがでしょう。
…というのは「元気なときの検査値」は、今後、検査をするときに比較するベース(基準)になるので「1度、検査しておくのが、おすすめ」なのです。
そして、人と同じで「年齢を重ねると検査項目は増える」ものの、若いうちは「一般検査・血液検査・尿検査」で良いと思います。(不安がある場合は、レントゲン検査やエコー検査を実施することもできます)
7歳以降など、高齢時には「みえるところに予兆がない病気についても、早期チェック」をするためのきっかけになります。
「何歳から受ければいいの?」と思ったとき
これは「ペット(犬・猫)の身体の負担もなく、飼い主さんにも負担のない、ペットライフを過ごしてほしい」という考えを前提とした、私の見解になりますが、年齢を重ねるのが早いワンちゃん、ネコちゃんは「人の年齢に換算して、何歳から健康診断をうけるかを決める」のがよいのではと思います。
もし、吐き気・下痢・咳・痒みなど、気になる症状が繰り返し起こるようであれば、若齢期にあたる1~7歳の間でも「血液検査などの身体検査をおすすめ」します。
犬・猫の成長は、1年で人の7年分といわれますので、心配な方は若いうちから「年に1回、健康診断を受ける習慣」があれば、より安心できると思います。
以下に、年齢ごとで、健康診断実施を判断するポイントを記載します。
1〜3歳での実施:
この時点で受けることで「若齢期から始まっているかもしれない各臓器の状態」を、早期かつ常時チェックすることができます。
3〜5歳で実施すると?:
若齢期の検査結果が基準にあることで「壮年前期から(7歳〜)の検査結果」をそれと比べて、はじめて「健康に生活できているか」わかります。そのため、3〜5歳での実施は「7歳以降の検査での基準」として最適です。もちろん「健康であることを年1度チェックしておく」対策としてもベストです。
5〜7歳で実施:
上記と同様ですが、壮年期にはいる直前ですので、最低限でも「1回はチェックしておきたい」タイミングになります。ここまでに検査をして「基準値をもっておく」ことで、ここからの壮年前期〜壮年後期で、状態を比較したり、気を付けることがわかります。
7歳~:
人なら40代(50代)を超えた年齢となりました。1年に1~2回健康診断を受けましょう。
(10歳以降は、年2回がおすすめです。年2回=人間なら3年に1回の健康診断をする形です)
〜7歳までの健康診断のデータは、ここからの検査と比較するための基準値となります。
「なにを、いつ受ければいい?」
〜5歳では、基本の「一般検査・血液検査・尿検査(オプション)」でよいと思います。
もし呼吸器や消化器に不安のある場合は、〜5歳でも、レントゲン検査や、エコー検査(オプション)を追加して可能です。
アイ動物病院の「犬・猫むけの健康診断」では「ヤングコース」「ミドルコース」「熟年コース」の3コースがあります。
ヤングコース:一般検査、血液検査
ミドルコース:一般検査、血液検査、レントゲン検査
熟年コース:一般検査、血液検査(+内分泌項目)、レントゲン検査
*オプション1:尿検査(当日の尿をお持ちください)
*オプション2:エコー検査(前もって予約が必要です)
*オプション希望の方は、予約時にスタッフへお尋ねください。
「うちの子は、どのコースがいいんだろう?」と思ったときは、お電話の際などにご相談ください。
また、検査項目を知りたい時は、予約時にご相談くださいね。
*検査前の注意事項もありますので「健康診断は電話予約のみ」になっております。*